新型マイクロチャンネル熱交換器はどのように開発されたか?

1) 狙い

 新型マイクロチャンネル熱交換器は、従来型の利点である 高伝熱性能(コンパクトさ)を維持したまま、以下に資する。

① (欠点の高圧力損失を除去することで)高圧プラントに限定されていた制約を取り除き適用先の拡大

② (高伝熱性能が維持されることで)プラントの小型化・高効率化

 これにより、エネルギープラントの設備コストの低減、その結果、地球温暖化ガス放出量削減、燃料資源の有効活用等に貢献する。

2) 開発経緯【詳細:総説論文 1)参照

 ジグザグ流路内の流速分布を3D-CFDにより解析した結果、 図3 a)に示すように、橙色表示の局所的高流速領域が形成され、その曲がり部において渦が発生していることが判明した。 この解析から、渦生成に消費されるエネルギー損失が大きな圧力損失の原因であることを解明した。 そこで、曲がり部で渦の形成されない流路を追究し、それが達成できるフィン形状として、 図4 に示す形状を得た。この新型のS字フィンで構成される流路では、図3 b)に示すように、流れが均一で、渦の発生が抑制され、 圧力損失が低減される。

図3 従来型と新型流路間での流速分布の比較

図4 S字型フィンにより構成される流路

 プレート式熱交換器においては、流路にフィンを配置し、流れを乱すことで伝熱を促進する。流れを乱す効果の大きいフィン形状が種々考案され、密に配置することで、伝熱特性の改善が図られてきた。しかし、それは圧力損失の増大を招く。
 新型マイクロチャンネル熱交換器では、S字型フィン形状は流れを乱さないように最適化されているので、流れを乱すことによる伝熱促進効果は無い。しかし、熱交換に有効な伝熱面積が流路全体に広がる。また、S字型フィンは、流路内に旋回流を誘起し、3次元的な流れを発生させる。この二つの効果により、実効的な伝熱面積が増大することで、流れを乱すことによる伝熱促進効果がないことを補い、従来型流路(例えば、ジグザグ・フィン流路)と同等の伝熱性能が確保される。

 結果として、S字型フィン流路では、従来の流路と同じ高い伝熱性能を維持し、圧力損失は~1/6に低減される。
 従来型と新型流路における流動状況は、下記の下線部をクリックすることで、高速度・高精細VTR動画映像として見ることができる。ここで、流体は液体CO2であり、沸騰で生成した気泡により流れが可視化され、図3に示す流動状況の違いが把握できる。